高速道路における逆走の発生状況と今後の対策(その2)

平成27年4月28日
東日本高速道路株式会社
中日本高速道路株式会社
西日本高速道路株式会社
首都高速道路株式会社
阪神高速道路株式会社
本州四国連絡高速道路株式会社

 東日本・中日本・西日本・首都・阪神・本州四国連絡高速道路株式会社は、平成26年9月10日、高速道路での逆走の発生状況と対策内容を公表しました。その後、逆走による事故の発生が社会的に大きく取り上げられている状況を踏まえ、改めて、平成23年から平成26年までの逆走発生原因などを詳細分析し、学識経験者からのご意見も頂いたうえで、昨年9月に公表した対策の平成27年度の展開方針と、新たな追加対策を取りまとめました。

 今後、この方針に基づき、さらなる逆走対策を推進するとともに、逆走のさらに詳細な原因分析、逆走対策の効果検証などを行い、学識経験者のご意見も引き続き頂きつつ対策内容を改善していきます。

  • 平成26年の高速道路会社管内の高速道路での逆走は198件発生
  • 平成26年度は33箇所での対策を終え、平成27年度はさらに34箇所で対策を実施
  • 逆走対策の方向性を学識経験者にヒアリングし、これまでの内容を継続・強化
  • 料金所入口一般レーンへのバー設置、センサーを用いた警告表示などの逆走対策を試行
  • 引き続き警察とも連携して、逆走原因を詳細に分析し、対策を強化

1 高速道路での逆走の発生状況(平成23年~平成26年)と逆走原因

(1)逆走の発生状況

平成23~26年の高速道路会社管内における、交通事故または車両確保に至った逆走事案739件を分析したところ、以下のような特徴を確認しました。

  • 逆走事案の約半数はインターチェンジ(IC)・ジャンクション(JCT)で逆走を開始
  • 65歳以上の高齢者によるものが約7割
  • 認知症の疑いの方が約1割で、精神障害や飲酒などの状態の方を合わせると約15%
逆走発生箇所
※H23~H26の逆走(739件)
(警察の協力を得て高速道路会社が作成)

運転者の年齢

運転者の状態
  • H23~H26の逆走(739件)(警察の協力を得て高速道路会社が作成)
  • 「認知症の疑い」とは、家族からの聴取等により、運転者に認知症の疑いがあると判断したもの

2 逆走対策の方向性に関する学識経験者の主な意見

 逆走を引き起こした運転者に高齢者が多いことや、誤進入や道間違えをきっかけにした逆走が多いことを踏まえ、対策の方向性について学識経験者にヒアリングを行った結果、主に以下のような意見を頂きました。

  • バーやラバーポールなど物理的に逆走しにくい構造とする対策は特に有効
  • 案内表示は、できるだけ大きく、明るくすると良い
  • 「右へ」や「進入禁止」といった文字による明確な行動指示が有効
  • 発光する看板など明るい物は、運転者が気づきやすい。
  • 舗装を着色化し、進行方向を誘導することも効果的
  • 高齢者は視野が狭く、下を向く傾向があることから、案内看板等を配置する際は、進行方向の正面に配置したり、路面に直接表示するのがよい
  • 逆走方向へ進入する前に「進入禁止」等の案内が見えるよう配置されていることが望ましい

3 逆走対策の方向性

 逆走発生原因の分析から想定した逆走の状況と、学識経験者のご意見とを踏まえ、対策の方向性を以下のとおり整理しました。

逆走対策の方向性

●昨年9月に公表した対策の内容 ○今後さらなる対策として推進する対策

4 平成26年9月に公表した対策の推進

 平成26年9月10日に公表した対策に関して、平成23年から平成25年までに逆走が複数回発生した33箇所では、平成26年度内に工事を完了しました。(別表1【PDF:230KB】
今後、

  • 平成26年に平成23年から平成26年までの逆走発生回数が新たに複数となった20箇所
  • 平成23年から平成26年までの逆走発生回数は1回だが、その逆走が死傷事故につながった14箇所

 を優先し、引き続き対策を実施します。(別表2【PDF:231KB】


平成26年9月に公表した対策の基本パターン(イメージ)

5 さらなる逆走対策

 4.に加え、3.で整理した逆走対策の方向性に基づき、新たに以下の対策を実施します。

(1)高速道路出口部での追加対策
 誤進入がそのまま逆走につながることとなる高速道路出口部(特に料金所の無い出口)で、以下の対策を実施します。

  • 出口ランプでの大型矢印路面標示
  • 一般道接続部付近への高輝度矢印板と「進入禁止」看板(できる限り逆走方向に方向転換する前に見える位置に配置)
  • 左折からの逆走に対する物理的抑制策として、ラバーポールを設置
  • 一般道右折レーンでの路面標示の延伸や、緑色のカラー舗装などによる入口での誘導強化

 これらの対策は、逆走が複数発生している、もしくは死傷事故が発生している7箇所から、警察や一般道管理者との個別協議を踏まえて、優先的に実施します。(別表3【PDF:227KB】


対策の基本パターンのイメージ(高速道路出口部)

対策の基本パターンの運転者からの見え方イメージ(高速道路出口部)

(2)平面Y型ICの平面交差部での対策
 誤進入がそのまま逆走につながることとなる、平面Y型IC平面交差部について、以下の対策を実施します。

  • 大型矢印路面標示、高輝度矢印板
  • 大型方向案内看板、案内看板と同色のカラー舗装
  • 逆走方向(左折)に進入しにくくさせる対策(ラバーポール・ゼブラ帯)

 これらの対策は、逆走が複数発生している、もしくは死傷事故が発生している3箇所から、警察との個別協議を踏まえて、優先的に実施します。(別表4【PDF:227KB】


対策の基本パターンのイメージ(平面Y型IC交差点部)

対策の基本パターンの運転者からの見え方イメージ(平面Y型IC交差点部)

(3)料金所入口一般レーンへのバー設置【試行】
 高速道路に進入したことに気づいていなかった逆走運転者で、料金所入口の一般レーンに設置した自動発券機で通行券を取らずに高速道路に入っていた例があることから、料金所入口一般レーンへのバーの設置を試行します。

 この試行は、逆走発生回数の多い北関東道で行い、効果検証を踏まえ、他の箇所に順次展開していきます。


対策イメージ

(4)高速道路出口部での逆走車への警告表示【試行】
 誤進入がそのまま逆走につながることとなる、高速道路出口部(特に料金所の無い出口)で、逆走をセンサーにより自動検知し、表示板で警告するとともに、管制センターに通知して早期確保につなげる対策を試行します。

 試行は、首都高速道路の2号目黒線目黒出口、横羽線大師出口で3月27日より開始しており、効果検証を踏まえ、他の箇所に順次展開していきます。

 なお、試行しているシステムは逆走の他に歩行者・自転車・原付の立入りに対しても検知・警告を行っています。


試行事例(首都高速2号目黒線目黒出口)

6 逆走事案の詳細情報の把握

 逆走対策をさらに進めていくためには、逆走発生場所やその発生原因を、より詳細に把握することが重要です。

 逆走事案が発生した場合には、警察と連携し、交通管理隊や料金収受員等の目撃情報を提供するとともに、得られた逆走発生原因などのより詳細な情報を共有し、それらのデータをさらに効果的な対策の検討へと活用していきます。

7 今後の逆走対策の進め方

 今後も、実施した対策の効果検証を行うとともに、学識経験者の意見を頂きつつ、継続して効果的な対策を検討するとともに、警察をはじめとする関係機関と連携して、逆走対策に取り組んでいきます。

 別添資料

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