休憩施設における駐車マス拡充の取組みについて
~2020年度は約550台拡充、2021年度は約600台拡充予定~
2021年4月28日
東日本高速道路株式会社
中日本高速道路株式会社
西日本高速道路株式会社
東日本高速道路株式会社、中日本高速道路株式会社、西日本高速道路株式会社は、高速道路の休憩施設において顕在化している駐車エリアの混雑に対し、駐車マスの拡充の取組みを進めています。
この度、2020年度の拡充実績と2021年度の拡充予定をとりまとめましたので、お知らせいたします。
<駐車マスの拡充数>
※普通車マス数と、兼用マスを含んだ大型車マス数の合計値
2020年度実績:約550台
2021年度予定:約600台
なお、工事に際して、交通規制などを伴う場合がありますので、ご注意願います。個々の休憩施設の状況については、別紙【PDF:167KB】または各社のWEBサイトをご確認ください。
また、多くのお客さまにご利用いただくため、サービスエリア(SA)・パーキングエリア(PA)での長時間駐車はご遠慮いただくなど駐車場の適正なご利用にご理解とご協力をお願いいたします。
1.駐車エリアの課題
Ⅰ.平日の夜間における大型車の混雑
平日の夜間を中心に大型車の駐車マスが不足し混雑している状況は、依然として発生しています。例えばE1東名 海老名SA(上り)では、平日の夜間を中心に、8時間以上の長時間駐車が約6割を占め、1台による駐車マスの占有時間が長くなり、多くの車両の利用ができなくなるため、大型車の駐車マス不足の一つの要因となっています。
Ⅱ.駐車利用の集中による混雑(SA・PA相互、時間帯)
大型車の駐車については、首都圏などの主要都市圏に近いSA・PAや、逆に主要都市圏から一定距離離れたSA・PAに偏っています。また、これらのSA・PAの利用は、同じような時間に集中するため、SA・PA相互および駐車マスの有効利用が適切に図られない状況となっています。
Ⅲ.不適切な駐車マスの利用
大型車マスに普通車が駐車する、または普通車マスに大型車が停車するなどの不適切な利用のために、本来駐車できる車両が駐車できない状況が発生しています。
また、兼用マスについても、普通車、大型車のそれぞれの駐車マスが満車になった場合に使用する設計となっておりますが、そのような利用がなされていないため、本来の機能が発揮できない事例が見られます。
既存敷地内を有効活用した改良により、駐車マスの拡充を図っています。また、駐車エリアの利用状況に応じて、普通車と大型車のどちらでもご利用いただける兼用マスを整備しています。
混雑の要因となっている長時間駐車抑制に対しては、注意喚起などの啓発活動を引き続き実施してまいります。
2.2020年度の主な取組み
Ⅰ.駐車マスの整備
ア)大型車マスの拡充
【E19中央道 恵那峡SA(上り)の事例】
E19中央道 恵那峡SA(上り)では、平日の夜間の時間帯を中心に大型車マス不足が顕在化していました。そこで、既存敷地内で駐車区画の配置の変更と合わせて、大型車・普通車のどちらでもご利用可能な兼用マスを増設し、大型車の駐車可能な台数を約1.4倍に増やすことで、大型車マス不足の解消をおこないました。
大型車マスの拡充により、平日夜間時間帯の大型車マス不足は解消しました。しかしながら長時間駐車は、駐車マス不足の一つの要因となりますので、長時間駐車はご遠慮いただき、多くのお客さまが効率的に休憩を取っていただけるよう、ご理解とご協力をお願いいたします。
イ)普通車と大型車のどちらでもご利用いただける「兼用マス」の整備
限りある駐車エリアを効率的にご利用いただくため、普通車と大型車のどちらでもご利用いただける「兼用マス」(NEXCO中日本では「兼用マス」は青色ラインで明示)の整備を進めています。「兼用マス」のご利用にあたっては、普通車、大型車それぞれの駐車マスを優先的にご利用いただき、それぞれの駐車マスが満車の場合に、「兼用マス」をご利用ください。「兼用マス」に普通車が1台駐車していると、大型車は駐車することができませんので、より多くのお客さまが駐車できるよう、普通車の縦列駐車にご協力をお願いいたします。
ウ)休憩施設の土地を活用した大型車マスの拡充
【E2山陽道 福山SA(下り)の事例】
NEXCO西日本では、E2山陽道 福山SA(下り)において、園地部を大型車マスに変更して、大型車の駐車可能台数を80台から97台へと約1.2倍に増やし、混雑緩和を図っています。合わせて、ダブル連結トラック用の駐車マスを計9台分新設しています。
エ)利用実態を踏まえた「平休運用切替マス」の設置
【E4東北道 長者原SA(下り)の事例】
NEXCO東日本ではE4東北道 長者原SA(下り)において、平日と休日で車種別の利用実態が異なることを踏まえ、平日と休日で駐車マスの運用を切替える「平休運用切替マス」を設置しました。駐車マスにはオレンジ色の枠線を付け、他の駐車マスと区別し、LED案内表示板に平日は「大型車」、休日は「小型車」と表示し、お客さまがわかりやすく駐車できるよう誘導しています。
Ⅱ.駐車マスの適正利用の呼びかけ
従来より、大型車および普通車の駐車マスの適正利用については、高速道路会社のWEBサイト、SA・PAにおけるポスター、道路パトロールなどによる呼びかけをおこなっております。
特に、近年整備を進めている兼用マスについては、普通車の駐車需要のピークが主に休日の昼間であることと、大型車の駐車需要のピークが平日の夜間であることの差に注目した取組みのため、その目的の理解が広まるよう、高速道路会社のWEBサイト、SA・PAにおけるポスターなどによる呼びかけをおこなっております。
(注意喚起ポスター・マナーガイド・WEBサイト)
Ⅲ.ダブル連結トラック専用の予約駐車場の整備
NEXCO3社では、2019年1月に特殊車両通行許可基準が緩和されたことを受けてダブル連結トラック用駐車マスを順次整備しているところですが、ダブル連結トラック以外の車両が駐車してしまうなどの課題が発生しています。また、新東名の休憩施設などにおいて大型車駐車マスが夜間を中心に混雑している状況であり、休憩施設の駐車場ではダブル連結トラックの駐車スペースを十分に確保できない状況です。そこで、NEXCO中日本では十分な駐車スペースの確保が可能な浜松いなさインターチェンジの路外と足柄SA(上り)に事前予約により確実に駐車可能なダブル連結トラック専用の駐車場を整備し、2021年4月1日から運用を開始しました。NEXCO3社では今後もトラックドライバーの確実な休憩機会確保に向けた取組みを引き続き進めていきます。
3.2021年度の混雑対策の取組み
Ⅰ.駐車マスの整備
2021年度、全国44箇所のSA・PAにおいて、新たに約600台の駐車マスの整備をおこなう予定です。
2020年度の拡充数(実績)および2021年度の主な拡充数(予定)
2020年度実績 49箇所 (詳細は別紙-1【PDF:130KB】) |
2021年度予定 44箇所 (詳細は別紙-2【PDF:129KB】) |
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工事前 | 工事後 | 増減 | 工事前 | 工事後 | 増減 | |
普通車マス数 (台)※1 |
4,209 (4,765) |
3,993 (5,227) |
-216 (+462) |
3,085 (3,933) |
2,742 (4,470) |
-343 (+537) |
大型車マス数 (台)※2 |
2,365 | 3,128 | +763 | 2,145 | 3,084 | +939 |
NEXCO3社 合計 |
6,574 | 7,121 | +547 | 5,230 | 5,826 | +596 |
- :( )は兼用マスを含んだ台数(兼用マス1台あたり普通車2台分としてカウント)
- :兼用マスを含んだ大型車マス数
注)表中の駐車マス数は現時点での計画であり、今後具体的な設計・工事を進める中で増減する場合があります
注)兼用マスを増やすことで、普通車が多くなる時間帯でも混雑が緩和されるようにしています
Ⅱ.さらなる駐車箇所の利用平準化の取組み
E1東名やE1A新東名の一部の休憩施設では、ETCを活用した路車間無線通信機器(フリーフローアンテナ)により、駐車場の車種別満空情報をリアルタイムで把握し、情報板やWEBサイトで駐車場の満空情報や休憩施設の混雑状況のきめ細やかな提供をおこない、駐車箇所の利用平準化を図ってまいりました。
NEXCO中日本では2021年度から、E1東名、E1A新東名の他、E19・20中央道、E1名神、E1A新名神、E1A伊勢湾岸道やE23東名阪道にも同様の取り組みを拡大していきます。
■情報板での情報提供
■ETC2.0対応カーナビでの情報提供
■WEBサイトでの情報提供
Ⅲ.その他の検討項目
ア)深夜割引の影響に関する検討
深夜割引は、一般道の沿道環境改善を目的に深夜に利用する車両を対象とした割引として2004年11月から導入されており、一般道の夜間交通量の減少に伴う騒音環境の改善などの効果が確認されています。一方で、深夜割引適用となる0時前に首都圏に近い休憩施設において深夜割引待ち車両による長時間駐車や、本線料金所などにおいて割引待ちの車両の滞留などの課題が発生しております。今後、駐車エリアの混雑緩和のため、大型車マスの適切な利用の呼びかけとともに、国土幹線道路部会での割引適用条件の見直しなどの議論を踏まえ、関係機関と連携して検討していきます。
イ)一時退出の拡大による休憩機会確保に向けた検討
高速道路からの一時退出を可能とする「賢い料金」の実施については、国土交通省にて2017年2月から休憩施設同士の間隔が概ね25km以上離れている区間100箇所を半減することを目指し、ETC2.0搭載車両を対象に、全国23箇所の道の駅で実証実験を実施しています。2020年3月からは「時間が短いため十分な休憩ができない」などの意見を踏まえ、一時退出可能な時間をこれまでの1時間から3時間へ引き上げて引き続き実証実験を行っています。今後、大型車の休憩機会確保を含めた良好な運転環境確保のため、対象箇所の拡大に向けて国土交通省と連携して検討していきます。
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